2013年11月16日土曜日

そもそも可視化の議論は、2010年に大阪地検特捜部の証拠改ざん隠蔽(いん ぺい)事件が発覚したことが発端だ。改革の原点は、冤罪(えんざい)根絶にあ るはず。捜査機関側が事件の反省の上に立って、組織を抜本的に改める姿勢を示 さなければ、議論は進むまい。 /愛媛新聞

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"Title : そもそも可視化の議論は、2010年に大阪地検特捜部の証拠改ざん隠蔽(いんぺい)事件が発覚したことが発端だ。改革の原点は、冤罪(えんざい)根絶にあるはず。捜査機関側が事件の反省の上に立って、組織を抜本的に改める姿勢を示さなければ、議論は進むまい。 /愛媛新聞
"Cats : 社会・世相・時代の参考情報
"Tags : 時事・ニュース,可視化,取り調べ,冤罪
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刑事司法改革の焦点となっている取り調べの録音・録画(可視化)の法案化が先送りされる見通しとなっている。
 約5カ月ぶりに再開された法務省の法制審議会特別部会で、可視化の範囲に関する意見の対立がより鮮明となり、意見集約が難航しそうなためだ。捜査・取り調べの適正化を目指すのが制度改革の柱。その趣旨に沿う仕組みづくりの議論を急ぎたい。
 部会には、可視化の範囲について、原則的に全過程の可視化を義務づける案と、取調官の裁量に委ねる案との2案が提示されている。
 部会では、警察、検察幹部の委員が、捜査への支障を理由に、取調官の裁量や可視化の例外となる事件の幅を広く規定するよう主張。一方、厚生労働省文書偽造事件で無罪となった村木厚子・同省事務次官らは「全過程可視化が基本だ」と反論、隔たりが埋まりそうにないのが現状だ。
 捜査機関の裁量に任せれば、自らに都合のいい解釈で可視化の範囲がどんどん狭められかねない。恣意(しい)的な運用に危惧の念を禁じ得ず、到底容認できない。
 原則可視化を義務づける案では、除外ケースとして、関係者の名誉・心情が著しく害される恐れがある場合や、容疑者や親族が報復される恐れがある場合、容疑者が拒否した場合などを例示している。適用が増え、例外の幅が広がりすぎる懸念が拭えない。
 可視化の対象を裁判員裁判事件に絞ることにも、首をひねらざるを得ない。それだと、刑事裁判全体のわずか3%程度にすぎない。既に試行済みの検察特捜部の独自事件や、誤認逮捕で無関係の人が自白させられた昨年のパソコン遠隔操作事件などは対象から外れることになる。可視化の後退との批判は免れまい。
 そもそも可視化の議論は、2010年に大阪地検特捜部の証拠改ざん隠蔽(いんぺい)事件が発覚したことが発端だ。改革の原点は、冤罪(えんざい)根絶にあるはず。捜査機関側が事件の反省の上に立って、組織を抜本的に改める姿勢を示さなければ、議論は進むまい。
 捜査側に圧倒的に有利な密室で、自白の誘導や強要など違法な取り調べが行われない保障はない。そうした一般市民の不安を取り除く制度にすることが必要だ。
 否認事件では、自白の任意性をめぐって審理が長期化するケースがある。自白の録音・録画を事実認定に証拠活用するなど、捜査側に有効な面も過小評価すべきでない。
 一方で、盗聴の対象犯罪を広げるなど捜査手法強化の議論も進む。可視化は、捜査権限強化の交換条件ではない。まずは、冤罪を生まないための「全面可視化」の制度化を実現させることだ。順序を間違えてはならない。

引用:取り調べ可視化 冤罪根絶の制度化議論を急げ | 社説 | 愛媛新聞ONLINE