2013年12月5日木曜日

日本の刑事司法は、事実を否認する被疑者を長期的に身柄拘束する「人質司 法」、検察官による証拠の独占など、検察官にあらゆる権限が集中している。そ して、検察は、第一次捜査機関の警察とは極めて近い関係にある。/郷原信郎弁 護士

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"Title : 日本の刑事司法は、事実を否認する被疑者を長期的に身柄拘束する「人質司法」、検察官による証拠の独占など、検察官にあらゆる権限が集中している。そして、検察は、第一次捜査機関の警察とは極めて近い関係にある。/郷原信郎弁護士
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"Tags : 郷原信郎弁護士,@nobuogohara,検察,刑事司法,警察,裁判所
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ここで言っている「免状不実記載」「転び公妨」で逮捕されても、ほとんど起訴されることはない。要は、20日間余りの身柄拘束のネタに使われるというのが実態だった。

犯人の処罰に向けての刑事事件の手続という面から考えると、そのような事実で身柄拘束をする必要性は、実際にはない。そのことは、検察官も裁判官もわかっているはずだ。しかし、公安事件で、「非公然活動家」が逮捕され、送致されてきた事件で、検察官が勾留請求をしないということはほとんどなかったし、裁判官が勾留請求を却下した例も少なかった。

このようなことは、「刑事司法に対する一般的な認識」としては考え難いことであろう。しかし、それも、テロなどの軍事活動を標榜する過激派の取締りという目的の下では、刑事司法の現場で実際に起こり得るのである。

特定秘密保護法の罰則が、そのような目的で使われる恐れがあるのかどうかは、何とも言えない。しかし、刑事司法が、常に適切に、法の目的に沿って運用されているという前提で考えることは危険である。

捜査機関が法の本来の趣旨に反する権限行使を行おうとした時、刑事訴訟法上、それを抑制する多くの手段が定められている。検察官が勾留請求するかどうかという判断、裁判所が勾留請求を認めるかどうかの判断、最終的な判決における事実認定などを通して、適切な判断が行われるというのが、刑事訴訟法の建前だが、ひとたび国家が一定の方向に動き始めたときは、それらの手段によって抑制できるとは限らないのである。

前出の阪田元法制局長官が、「特定秘密保護法案には法律として構造的な問題はない」とする理由として、「もし、不当に特定秘密に指定された事項に関して、刑事事件が立件され起訴された場合には、裁判所が適切に判断するはずだ」と述べている。それは、「刑事司法に対する一般的な認識」に基づく見解としては正しいであろう。しかし、実際に、公安事件も含め、刑事司法の現場が、すべて、そのような認識通りに運用されているかといえば、必ずしもそうではないのである。

日本の刑事司法は、事実を否認する被疑者を長期的に身柄拘束する「人質司法」、検察官による証拠の独占など、検察官にあらゆる権限が集中している。そして、検察は、第一次捜査機関の警察とは極めて近い関係にある。

このような刑事司法の実情を考えた時、私は、「刑事司法への信頼」を前提に、特定秘密保護法に問題がないとする意見には、賛成できない。

引用:特定秘密保護法 刑事司法は濫用を抑制する機能を果たせるのか | 郷原信郎が斬る